またたびCINEMA〜みたび〜

大好きな猫や映画の小ネタなんぞをとりとめもなくつづってゆきます

Cats Vs. Christmas

Happy Holidays!
Merry Christmas!と、容易く祝ってしまいがちだが、世の中クリスチャンばかりではないので、最近は ハッピー ホリデーということになっているらしい。
まあ宗教に節操のない日本人としてはどちらでもいいけどね。

ところで、猫たちにとってもこのクリスマス時期はお楽しみのようだ。
なんたって大好物のクリスマスツリーがお目見えするんだから。

ツリーの身になってみれば、猫が天敵。
猫が大好きなオモチャのデコレーションがクリスマスツリーなのだから。
ツリーに陣取って動くオーナメントと化している猫。
モールを引きちぎり、ボールを撒き散らし、挙句にツリーを引き倒す。
惨劇以外の何物でもない。

唯一猫にとって不服なのは、トナカイやサンタの格好をさせられること。
トナカイの角を被せられて憮然とした表情の猫ちゃん、たまらない。

それでは、コールとマーマレードちゃんのクリスマスに案内していただこう。

Global Voices 日本語に参加しました。

Global Voices って何?という人!もっともです。
私も数ヶ月前まで知りませんでした。


Global Voices すなわち「世界の声」は、先進国中心のネットの世界で見逃されがちな声なき声を世界中に発信しようという試みです。
世界中から投稿されたブログが集まってくるサイトで、現在42もの言語が使用されています。
でも例えばスワヒリ語は多くの日本人にはチンプンカンプンです。そのスワヒリ語を英語に訳す人がいます。またそれを私たちが日本語に翻訳すれば、遠いアフリカの人の声を聴くことができるのです。
もちろん、遠い東洋の果てにある小さな島国に住んでいる私たちの声も、世界各国の人々にネットを通して届いているのです。


私は今回、メキシコの貧困とそれを援助する組織TECHOをレポートしたJ.Tadeoさんの記事を翻訳しました。
翻訳者募集に応募して採用された記事です。クリックするとページに飛びます。         
 ⇩
メキシコで貧困と長く闘い続けるTECHO
友達がメキシコのオアハカという美しい古都に住んでいる経緯で、メキシコに2度遊びに行ったことがあります。その時路上で少年たちがアコーディオンを弾いて小銭を稼いでいました。おそらく学校には行ってないでしょう。私にはその子に小銭をあげることぐらいしかできませんでした。


世界長者番付1位の金持ちがいる一方で、水道もない家で暮らす人々が同じ国に共存しているのは、何という皮肉でしょうか?


 

黒猫!

明日はHalloweenということで、はろーうぃんといえば黒猫であーる。
否、蜘蛛だろう、蝙蝠じゃないの、という人もいるだろう。
当ブログとしては、当然黒猫押しなのである。
まあ、最近巷では、ハローウィン=仮装するお祭りと化しているよね。


私の馴染みの黒猫。仕事の行き帰りに声を掛けてくれる。
黒猫は魔女の手先と忌み嫌われているが、実際は甘ちゃんが多い。
この子も通りすがりの人の足に絡みついて甘えている姿を良く見かける。


先日行った菱田春草展は、まさに黒猫目当ての人で賑わっていた。

解説によると、この猫は線描を用いない朦朧体で描かれ、背景は琳派の技法を用いているとのこと。黒猫の毛のふわふわ感とデザインされた木の枝と後ろの柏の葉を、うまく融合させているらしい。
東京近代美術館のホームページの解説がとても分かりやすい。
みどころ 菱田春草展
他にも猫の絵があって、私は子猫が木から降りてきたかのような「柿に猫」がお気に入り。

展覧会場で重要文化財の素晴らしい絵を巡りながら、気がついたことがある。代表作の「落葉」の連作を始めとして、秋を題材にした絵が多い。そういえば、猫たちの背景も秋の木々だ。たしか作者の名前は「春草」。「秋草」の方がふさわしいのでは?
展覧会は11月3日まで竹橋の近代美術館で開催中。まだの人、黒猫が観たい方は是非。

フランスの黒猫といえば、スタンランのシャノアール

こちらは本当に怖いポーの『黒猫』
ポー怪奇・探偵小説集(1) (偕成社文庫3122)


おまけはロンドン塔の渡りガラス。全然怖くないって?

中川安奈さんの早すぎる死を悼む

先週末、職場の友人の妹さんが亡くなった。
女優の中川安奈さんだ。まだ49歳だという。友人に会ったら何と声を掛ければいいのだろう。言葉が浮かばない。
お姉さんに会いに来た安奈さんを、2、3回お見かけしたことがあった。
美しい人だった。3年前の3.11の数日後にも、「お姉さん、元気?」と安否確認に来られた。姉妹の仲の良さを垣間見た気がした。


安奈さんがデビューした頃、お祖父様の千田是也氏と一緒にテレビに出ていたのを見たことがあった。同じ道を歩もうとする孫娘を誇らしそうに見つめる千田さんが印象に残っている。ちなみに千田是也氏はブレヒトを日本に紹介し、俳優座創設にかかわった方である。
後年安奈さんは、才能豊かな舞台演出家の栗山民也さんと結婚する。 

ところで安奈さんも、友人もドイツとのクウォーターである。
千田氏の娘モモコさんは少女時代を旧東ドイツで過ごすという、日本人としては希有な体験をしている。
日本に帰り、画家中川一政氏の息子TBSディレクター晴之助氏と結婚する。
娘が先に逝くとは、お二人はどんなお気持ちだろうか。


舞台を中心に活躍していた安奈さん。私は芝居をあまり見ないので、映像の安奈さんしか知らない。去年閉館した東銀座の映画館シネパトスを舞台にした意欲作『インターミッション』で、妖しい女性を演じていた安奈さん。再放送していた相棒の演技も光っていた。
安奈さんの残した作品を見て、その美しさを偲ぼうか。

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必見『War Horse ウォー・ホース〜戦火の馬〜』

今、絶対に見ておくべき芝居がロンドンから渋谷に来ている。
ロンドンのナショナルシアターで大評判、スピルバーグが映画化した大ヒット作だ。


馬のパペットの中には人が入っているのだが、劇に引き込まれていくうちに、馬たちが生きているかのように見えて来る。感動につつまれる至福の時間だった。
第一次世界大戦から100年。当時、兵士とともに馬たちも戦争に駆り出され、多くの命が失われた。
馬と人との友情を介して、今も変わらない戦争の非常さを静かに訴えている。

24日日曜日まで渋谷シアターオーブで開催中。

戦火の馬 [DVD]

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わたしが一番きれいだったとき

ところで、長岡空襲があった8月1日の夜、私の母は隣接する見附市にいて隣の火事を見ていたそうだ。
「花火のように奇麗だった」と聞いた憶えがある。


今年の6月末、世田谷文学館茨木のり子展を観に行った。
この看板の写真。美しい人だ。凛としたという形容がふさわしい。姿も心も。撮影者は谷川俊太郎氏。

茨木のり子の詩「わたしが一番きれいだったとき」を初めて読んだとき、母のことだと思った。
茨木のり子さんと私の母は大正14年生まれの同い年である。二十歳前後の一番楽しいはずの青春時代は戦時中だった。母は何故か生涯化粧をしない人であった。


>>わたしが一番きれいだったとき 

                茨木 のり子


わたしが一番きれいだったとき/街々はがらがら崩れていって/とんでもないところから/青空なんかが見えたりした


わたしが一番きれいだったとき/まわりの人達がたくさん死んだ/工場で 海で 名もない島で/わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった


わたしが一番きれいだったとき/だれもやさしい贈り物を捧げてはくれなかった/男たちは挙手の礼しか知らなくて/きれいな眼差しだけを残し皆発っていった


わたしが一番きれいだったとき/わたしの頭はからっぽで/わたしの心はかたくなで/手足ばかりが栗色に光った


わたしが一番きれいだったとき/わたしの国は戦争で負けた/そんな馬鹿なことってあるものか/ブラウスの腕をまくり/卑屈な町をのし歩いた


わたしが一番きれいだったとき/ラジオからはジャズが溢れた/禁煙を破ったときのようにくらくらしながら/わたしは異国の甘い音楽をむさぼった


わたしが一番きれいだったとき/わたしはとてもふしあわせ/わたしはとてもとんちんかん/わたしはめっぽうさびしかった


だから決めた できれば長生きすることに/年とってから凄く美しい絵を描いた/フランスのルオー爺さんのように ね

花火と爆弾〜ふたたび〜

『この空の花ー長岡花火物語』は「花火」と「爆弾」という、似ていて非なるものをめぐり、平和と戦争を考える映画だった。
前回書き忘れたのだが、来年の8月15日、終戦の日にハワイ真珠湾にて、長岡の花火を打上げることが決まったそうだ。なんてこった!
真珠湾攻撃を指揮したのは長岡出身の山本五十六元帥であり、その長岡に爆弾を落としたアメリカの真珠湾で長岡の花火を上げる、というのだ。
ホノルル市と長岡市は、いつのまにか姉妹都市になっていて、ここ数年3月にホノルル沖で花火をあげているという。


そういえば、広島と長崎の慰霊式典にも、ここ数年アメリカ大使が出席する慣例になっている。
謝罪や大統領の出席は無理でも、アメリカ側のなんらかの意思表示なのだろう。


加害と被害、両国にわだかまりが無くなった訳ではないが、戦争が終わった記念の日に、激戦で多くの血が流れた海の上に、美しい花火が上がるのだ。いいじゃないか!