またたびCINEMA〜みたび〜

大好きな猫や映画の小ネタなんぞをとりとめもなくつづってゆきます

ダニエル・シュミット監督追悼の夕べ

御茶の水のアテネ・フランセで、最近亡くなったダニエル・シュミットを偲ぶ会といった趣の上映会がありました。シュミット監督の親友でもあった蓮實重彦教授による映像レクチャーと、ダグラス・サーク監督のインタビューを綴った『人生の幻影』の2部構成でした。
蓮實先生は、シュミット監督も着た事があるというダブルのスーツを着て(監督は他人の服を着るのが好きだった)、お茶目な監督の思い出話を散りばめながら、『アメリカの友人』(ヴィム・ヴェンダース作品 ブルーノ・ガンツに殺される役で出演)『ヘカテ』、『今宵かぎりは..』、『ラ・パロマ』等の一部分を実際に上映してシュミット作品を解説。
私にとって20数年振りの映像に、ダニエル・シュミットの突出した才能を再碓認しました。
初めて観た時、衝撃のあまり混乱してしまった映画です。

ラ・パロマ [DVD]

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ここの場面は、スイスの山の上でこの二人がオペラのアリアをデュエットしているのですが、何故かふたりの頭上というか、空の上に薄衣を纏った天女が現れ、ぷかぷか浮かんでいるという映像です。こんな脈略のない不思議なシーンはダニエル・シュミットにしか作れないと思います。「僕が死んで僕の名前や、映画のタイトルを忘れても、このシーンを憶えていてくれればいい」というようなことを、監督が蓮實さんに言ったそうです。確かに一度見たら忘れられない映像ですよね。

第7回東京フィルメックスでシュミット監督の『天使の影』と『ヴィオランタ』が上映されます。ほぼ日本初公開の2作です。東京フィルメックス