またたびCINEMA〜みたび〜

大好きな猫や映画の小ネタなんぞをとりとめもなくつづってゆきます

銀幕の大スター高峰秀子さん逝く

正月早々耳に入って来た訃報、女優高峰秀子さんが年末に亡くなったとのこと。残念でならない。


以前、銀座のデパート、プランタンの先に並木座という名画座があった。古いけれどモダンなビルの地下にある、本当に小さな試写室のような映画館で、何故かいつも満席だった。まだ若く、洋画好きだった私は、この小屋で日本映画に開眼した。昔の日本映画の面白さを知ったのだ。特に50年代、黒澤明溝口健二小津安二郎成瀬巳喜男木下恵介等々の名監督が腕を競っていた。本当に次々と今に残る名作が生まれた日本映画の黄金期だった。

ここで黒澤の『酔いどれ天使』、溝口の『雨月物語』、小津の『晩春』を観た。小津や黒澤作品は池袋の文芸座でも観たが、成瀬巳喜男監督の映画のほとんどは並木座で観た。
何本か続けて観るうちに、いつの間にか成瀬ワールドにハマっていった。その成瀬作品に数多く主演していたのが高峰秀子さんだった。
その成瀬の最高傑作『浮雲』の高峰さんはスゴい。美人だけが売りの女優には決して務まらない難しい役だ。相手役の森雅之の色気も尋常ではない。まだ観ていない人は是非観て欲しい。

浮雲 [DVD]

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女が階段を上る時 [DVD]

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木下恵介作品の主演も多い。コメディエンヌぶりを発揮。
カルメン故郷に帰る [DVD]

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文才にも恵まれていた。表紙の絵は梅原龍三郎氏。
わたしの渡世日記〈上〉 (文春文庫)

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