またたびCINEMA〜みたび〜

大好きな猫や映画の小ネタなんぞをとりとめもなくつづってゆきます

初めてのマレーシア映画―砂利の道(The Gravel Road)

東京を台風が吹き荒れた土曜日、六本木でインド系マレーシア人の家族を描いた作品を観た。東京映画祭の「アジアの風」という企画。この前に上映されたスティーブン・ブショーミの『インタヴュー』が満員だったため、何の予備知識のないまま観た。
タイトルどおり、鋪装されていない田舎道がよく出てくる。その道でもいろんな出来事が展開する。貧乏で子だくさんの家族の日常が淡々と描かれる。説明が少ないので、ストーリーや人間関係を把握するのもちょっと大変。ロングショットを多用し、カメラを固定して同じアングルで撮る。林の中の一本道をベスパでふたり乗りするシーンや、小川に渡した木に座るシーンなどが繰り返し出てくる。同じ様な場面を繰り返すのは、小津を始め、多くの映画作家が用いる技法で、観客にあるリズムを与え、印象深くさせる効果がある。自然の映像は瑞々しく、小さな家に暮らす家族模様も面白い。
異国で生きるインド系家族の絆の強さを感じさせてくれる。