またたびCINEMA〜みたび〜

大好きな猫や映画の小ネタなんぞをとりとめもなくつづってゆきます

日本一の晴れ男―植木等


昭和の高度経済成長期の象徴ともいわれた、クレージーキャッツ植木等が亡くなりました。
青島幸男の追悼で書いたように、私はクレージーキャッツの数々の唄と、植木等が大好きでした。
この映画の中で、植木等が田んぼの畦道を、顔に満面の笑みを浮かべて唄いながらやってくる場面が、もうおかしくて仕方なかった憶えがあります。これっぽっちの影もない、もうばかばかしい程の明るさにあきれてしまいました。

全盛期のクレージーキャッツは知らないのですが、古いシャボン玉ホリデーのビデオ上映会に駆け付けた事があります。笑い過ぎて、パイプ椅子から転がり落ちてしまいました。(過去に椅子から転げ落ちたのは、マルクス・ブラザースの『我輩はカモである』のみ)
みんながペアでワルツを踊っている場面で、ひとり植木等が柔道着姿で入ってきます。ワルツと柔道の型がシンクロしておかしいのですが、みんながしらっとした時に、例の「およびでない。こりゃまた、失礼いたしました!」のセリフでまわりがずっこけるという、お約束の展開です。このギャグは、偶然出来たそうですが、植木等の間は絶妙で天才的だと思います。

ある夜、近所の杉並公会堂を通りかかったら、「春の杉並区植木等展示会」という大きな横断幕が張られていました。杉並区は何か植木等とゆかりでもあるのかしら?と翌朝いそいそと行ってみたら、公会堂の前はたくさんの苗木や花でいっぱいでした。ああ、勘違い!

「日本一の晴れ男」というのは、追悼番組で植木等最後の出演映画を撮った監督の言葉からいただきました。植木さんの出番は数分だったそうですが、その日は雲ひとつない日本晴れで、思わず監督が「植木さんは日本一の晴れ男ですね」と声をかけたら、うれしそうに笑ったそうです。

青島幸男植木等という黄金コンビは、もう出てこないかもしれません。お笑い全盛期ですが、少しさびしいこのごろです。