追悼:ジャンヌとサム
あこがれのジャンヌ・モロー
への字口のジャンヌ・モローは、知的なクールビューティでありながら、同時に可愛さも持ち合わせている女優だった。
二十歳にしてコメディー・フランセーズのメンバーとなり、監督のルイ・マルやトリフォーに愛された。
『死刑台のエレベーター』では、街を歩き回るジャンヌの凍りついた美しい顔が印象的だった。
Ascenseur pour l'échafaud / 死刑台のエレベータ
『突然炎のごとく』では、原題 ”Jules et Jim” のとおり、ジュールとジムのふたりの男たちを翻弄する魅惑の女を演じた。私の中ではトリフォーの最高傑作であり、ジャンヌの代表作だと思う。
この映画の中で挿入歌「つむじ風」も歌っている。彼女のコケティシュな魅力が見られる場面だ。
Jules et Jim - Le tourbillon (1962) HD 720p
晩年まで女優として顔を出し、シワを隠そうともせず堂々とした態度だった。
あこがれの女性がひとり居なくなってしまった。
颯爽と去っていったサム・シェパード
『ライトスタッフ』というアメリカの黎明期の宇宙飛行士たちを描いた映画で、宇宙には行かずスピードの壁に挑戦し続けたテストパイロットを演じた。
サム・シェパードをスクリーン上で一目見た時、心を奪われてしまった。
写真で見るとそれほどハンサムではないが、佇まいがカッコイイのだ。
馬に乗って颯爽と去っていく姿にあこがれた。
ライトスタッフ (プレビュー)
『天国の日々』で愛に報われない農場主を演じた。とにかく美しい映画で、白いシャツを着たサムの姿が切ない。
『天国の日々』予告編
本業は劇作家で、本人も自分はライターだと言っている。若いころ、パティ・スミスと一緒に住んでいたこともあり、生涯仲が良かったようだ。
後年、パティの映画に本人役で出演し仲の良いところを見せている。
あこがれのふたりが相次いでこの世から姿を消してしまった。
寂しいことこの上ない。