戦争に行った熊ヴォイテク
オーストラリアのコアラが満潮の川で立ち往生。渡りに船で、通りかかったカヌーに助けられる映像が話題だ。
そういえば、オーストラリアの山火事でレスキュー隊員から水をもらうコアラが話題になった。
受難にあう動物は昔から多いが、母親を亡くした小熊は助けられたとしても、動物園行きだろう。
しかし、第二次世界大戦中、イラクに駐屯していたポーランド軍に拾われて、イタリアに渡り、ポーランド兵とともにナチスと闘ったクマがいた。名前はヴォイテク。
NHKの「地球ドラマチック」で、「戦争に行ったクマ〜ヴォイテクとポーランド兵の物語」で何度か放送されている。
よく部隊と行動をともにする犬の話は耳にするが、熊というのは驚きだ。
小さいうちはマスコットとしてかわいいだろうが、なにせヒグマだから当然ポーランド兵より大きい。
クマのヴォイテクは、自分を人間だと思っていたに違いない。
兵隊たちと同じようにビールや煙草を好み、仲間とレスリングに興じた。
軍用トラックの助手席に乗り、弾薬を運んだ。
その様子は部隊の紋章にもなった。正式階級は伍長だそうだ。
戦争が終わると、部隊とヴォイテクには受難が待っていた。
連合軍として闘った部隊は、故郷に凱旋することなく、スコットランドに送られた。
祖国に戻られなくなったポーランド兵とヴォイテクはともに2年間を駐屯地で過ごし、除隊後47年にエジンバラ動物園に引き取られた。
ヴォイテクは動物園の人気者になったが、囚われの身になった心の内はどうだっただろう。
ポーランド兵の何人かは動物園を訪れ煙草を投げ与えていたという。入園者のポーランド語だけには反応したというヴォイテク。
ちょっと悲しい結末である。
Wojtek the Bear: Polish War Hero
- 作者: Aileen Orr
- 出版社/メーカー: Birlinn Ltd
- 発売日: 2012/08/19
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