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またたびCINEMA〜みたび〜

大好きな猫や映画の小ネタなんぞをとりとめもなくつづってゆきます

日独合作の奇妙な果実ー『新しき土』

本邦初の国際合作映画として1937年に制作された『新しき土』は、実に奇妙な映画だった。
監督はドイツ映画の巨匠アーノルド・ファンクという人。共同監督として伊丹万作が名を連ねて入るが、実際は補佐的な役割だったらしい。
ファンク監督は山岳映画が有名で、確かに山のシーンは迫力がある。でもストーリーに無理がある。日本は美しいといいたいらしいが、見ているこちらが恥ずかしくなる。リアリティがなく観念的な映画だ。
一番笑ってしまったのは、富士の裾野あたりにある早川雪舟のお屋敷の裏手に広島にあるはずの厳島神社が出現する。原節子演じるお嬢さんがお庭の垣根を超えると海に浮かぶ鳥居が!お嬢様は鹿とたわむれて遊ぶのだ。
16歳の原節子の美しさが見所だが、旧家のお嬢さんを演じている原は、ドイツ留学から帰って来た許嫁が破談を持ちかけると、絶望の余り花嫁衣装を手に富士山を着物と草履姿で登り、火口に身を投げようとする。荒唐無稽な展開だ。
海外版のタイトルは『サムライの娘』だから、見かけはか弱くても心は炎を抱えている女性なのか?
日本のタイトル『新しき土』は満州の新天地を指しているらしい。、ラストで日本の美しさと原節子の一途さに心変わりした主人公が、家族で農地開拓する様子が笑顔で描かれている。ロシアのプロパガンダ映画のようだ。
まあ、ドイツから見た当時の日本はビューティフルでミステリアスだったのがよくわかった。