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またたびCINEMA〜みたび〜

大好きな猫や映画の小ネタなんぞをとりとめもなくつづってゆきます

ARATAの妖しい魅力

空気人形/是枝裕和監督/2009/日本

最近NHKのドラマ『チェイス 国税査察官』というドラマにハマっている。ドラマもまあまあ面白いのだが、脱税指南役のARATAが素晴らしいのだ。
お話によくありがちなのだが、悪役の方が主役よりも魅力を放ってしまっている。
ARATAが、知的で冷血な男をドキドキさせる妖しさで演じている。
今日のお昼にはNHKに生出演して、素顔を覗かせてくれた。おしゃれな人だ。

実はARATAさんの存在は知っていたが、演技を見たのは、少し前に公開された『空気人形』が初めて。人間に恋をしてしまったラブ・ドールの哀しい恋物語だ。
アンデルセンの童話『人魚姫』同様、せつない幕切れで終わる。
ペ・ドゥナ演じる人形の体がふわふわ浮いているように、浮遊感漂う映像が印象的で、東京の町が新鮮に映る。
この映画に出てくる人々は、誰もが虚ろな存在に思える。
二人が働くビデオショップで、人形が誤って脚立から床に落ち、だんだん空気が抜けていく。驚くARATAと「見ないで」と囁く人形。情けなくしぼんでしまったビニール人形のお腹に、ARATAが空気を吹き込んでいく。ドキドキする官能的なシーンだ。
是枝監督もこのシーンが描きたかったとインタビューで応えている。
この作品のARATAはいい人なのだが、心に闇を抱えた空っぽの存在だ。自然な演技が印象的で忘れられない俳優のひとりになった。
是枝作品は前回の『歩いても 歩いても』も素晴らしかった。『空気人形』ぜひ見てほしい。板尾創路もいいですよ。