またたびCINEMA〜みたび〜

大好きな猫や映画の小ネタなんぞをとりとめもなくつづってゆきます

夏の終わりの陽水


NHKで4夜連続で放映していた「LIFE 井上陽水〜40年を語る」が面白かった。


一番多感な中学時代によく聴いてはいたが、熱心なファンだったわけではない。
しかし、番組を見ているうちに、いかに陽水の曲をたくさん知っているか、いかに陽水の歌が私の心に入りこんでいるか、を再認識した。


陽水の声はハリがあって、ツヤっぽい。誰かが風呂場で歌っているようだと言っていた。声が良すぎるのが難点だと思っていた。スガシカオのようなハスキー声が私の好みだ。
そのスガシカオも歌っていた「少年時代」だが、よくよく聴いてみると夏の終わりの歌だった。一抹の寂しさが漂う過ぎ去っていく夏の感じをうまく出している。
映画『少年時代』(篠田正浩監督)の主題歌で、たぶん当時映画館で見たはずだ。同じ監督の『瀬戸内少年野球団」とごちゃになっている。
上のYOUTUBEの『少年時代』に使われている写真は、どこか懐かしく、桑原甲子雄の一連の作品を思わせる。


タモリがよく陽水に「あなたの歌は意味がわからない」と茶化していたが、番組では陽水の歌詞についても鋭い分析をしていた。シュールで、内容のない語呂合わせじゃないか!と突っ込みたくなるような歌詞も多い。難解で知られたボブ・ディランが先生だったのね。
韻を踏むのが「当たり前田のクラッカー」の英詩と違い、日本語は語数でリズムを刻む。「犬が西向きゃ尾は東」とかね。音の響きにも敏感で「曾根崎心中」の調べがいいそうだ。


収録に一時間半も遅れて来たリリー・フランキー始め、交流のある人々の話から陽水の人となりが浮び上がってきた。シャイなくせに人懐っこいところがあったり。会ったばかりの水谷豊に「今日泊まってく?」と誘ったり。お茶目な陽水さんに笑わされた。


今回一番吃驚仰天したのは、宮沢賢治の『雨ニモマケズ』のアンサー・ソングだ。一体誰があの名詩をいじろうと思うだろうか?脱帽。