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またたびCINEMA〜みたび〜

大好きな猫や映画の小ネタなんぞをとりとめもなくつづってゆきます

白洲次郎、正子旧宅訪問〜カントリー・ジェントルマンって何?

どうも白洲次郎がブームらしい。NHKでドラマ化される程だ。
でも白洲次郎って誰っだけ?戦後復興に一役かった人らしいが、歴史の表舞台には登場していない。かっこいい人というイメージが先行している感がある。
「オイリーボーイ」(車好きの意味)「風の男」「マッカーサーを叱った男」「日本で初めてジーンズをはいた男」「従順ならざる唯一の日本人」等いろんなタイトルを付けられたが、本人は「俺は百姓だ」と言っている。
彼の流儀はケンブリッジ時代に身に付けた「プリンシプルを貫く」だった。後年美の目利きとして有名だった妻の正子は「まことにプリンシプル、プリンシプルと毎日うるさいことであった」と回想している。


そのドラマは3回シリーズでもう2話放送された。白洲次郎伊勢谷友介白洲正子中谷美紀が演じている。

海の向こうのオバマ大統領の演説を聴いてると、どうしても我が国の麻生首相が見劣りする。太郎ちゃんには次郎ちゃんが大事にしたプリンシプルがない。ブレてばっかりだからね。
日本にも颯爽としたリーダーが登場して欲しいと誰もが思っている。
ケンブリッジ仕込みの英語を話し、身長185cmでハンサムな白洲次郎ならリーダーとして申し分ない。残念ながらそんな人は今見当たらない。少なくとも永田町には。
でもどうして麻生さん海外だと英語を話したがるんだろう。日本語だって怪しいのにね。


父の会社の倒産で日本に戻った次郎は、樺山伯爵の娘正子に出会い結婚する。
軍部が台頭するなかで、開戦を阻止しようとイギリスまで出向いていくが果たせず、食糧危機を見越して東京郊外の鶴川村で農業を始める。日本中が目隠しをされた状態の中で、グローバルな視点を持ち得た僅かな日本人のひとりだった。
戦後は吉田茂に重用され、経済復興を目指し通産省を誕生させたが、軌道に乗るとさっさと辞めて百姓に戻る。
イギリスの上流階級社会では、田舎に大きな屋敷と領地を持ち、仕事はロンドンでする。いわゆる「カントリー・ジェントルマン」である。白洲はこの流儀をまねたのではないだろうか?もっとも本家では自ら野良作業はしないけれど。


実は白洲邸に行ったのは1ヶ月以上前だ。小田急線の鶴川駅から歩いて10分程だ。
起伏に富んだ地形に建売り住宅がマッチ箱のように連なっている。昔は見渡す限り畑と田んぼだったろうと推測する。
白洲は鶴川村の一軒の養蚕農家を買取って、東京から引っ越して来た。武蔵と相模の国境というので武相荘と名付けた。もちろん無愛想という意味も掛けてあるのだろう。→武相荘HP

武相荘長屋門 

なだらかな坂道を上るとこの門がある。
ドラマでは青山二郎らに付合わされた正子が朝帰りするシーンで、出勤する次郎と鉢合せする。「白洲次郎の飼犬」と呼ばれた正子が、仕事に燃えている次郎に嫉妬して喰ってかかる。次郎は正子をライバルだと言い、深い愛情を見せる。この後正子をおんぶしてこの門に向かうのだが、ここはドラマの中でも好きなシーンのひとつだ。


茅葺きで平屋の母屋である。屋根の一番てっぺんに「寿」の文字が見える。
玄関の花が生けてある大きな壷を始め、家の家具、調度は正子の趣味で選ばれたものである。四季によって展示物が変わるので、お好きな方は季節毎4回来ると良い。
私が気に入ったのは正子の書斎である。一番奥まった部屋に壁には蔵書がぎっしり。座り机で本を読みふける正子の姿が見えるようである。

大変居心地が良さそうな家だったが、案外小さいのに驚いた。伯爵家の娘と、宮大工を家に住わせ屋敷を次々建てるのが道楽だった実業家の息子の家にしては質素過ぎないか?
政府の仕事をし、北陸ガスの役員などをしていたのだから、もっと大きな家に住めたはずである。
白洲次郎には、あまり欲を持っていた感じがしない。野望というものがないかのようだ。
たぶん生まれながらにして、すべて持っていたからなのではないか?と推測する。
物欲ばかりでなく、たいした出世も望んでない。あっさりしたものだ。