お茶目なおじさんたちと妖しい踊り子たち―ファンファーレ・チォカリーア
11日の土曜日に三鷹市公会堂で、とびきり陽気なオヤジのブラスバンド、ファンファーレ・チォカリーアのコンサートに行って来た。初来日から見ていて、私達は今回で3回目もコンサートに馳せ参じている。
上の動画は12日の横須賀での模様をどなたかが写したもの。コンサートの終了後、アンコールにも応えた挙げ句、このバンドはロビーでおまけの演奏をしてくれる。サービス精神旺盛この上無い。私はチビなので、ロビーでの演奏がほとんど見えなかったが、おでこに千円札を貼付けて帽子にチップを集めているニコラエには脱帽した。
映画では、渋谷のハチ公前でもゲリラ演奏している。その様子が収録されているのが『炎のジプシー・ブラス〜地図にない村から』だ。
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ファンファーレ・チォカリーアのメンバーは、ルーマニアの北東の小さな村、ゼチェ・プラジーニの出身だ。たった400人の村人の中で、大人の男性の実に85%がブラス奏者だという。
同じジプシーの楽団、タラフ・ド・ハイドゥークスのクレジャニ村は、ほとんどがヴァイオリニストというのが興味深い。ちなみにパーカッション(チップ集金係)のニコラエはクレジャニ村出身で、色っぽいダンスを披露してくれたアウリアは、タラフの長老だったヴァイオリニスト、ニコラエじいさんの孫。
アウレリアはドイツ人のマネージャーと結婚していて、サインしてくれた時、パンフの写真の息子(娘?)フランシュがもう大きくなったと言っていた。チャーミングないい人だ。
タラフもそうだが、ファンファーレの面々は実に自由だ。やはり開演前にどこかに外出するし、演奏のない時には、ギャル相手におしゃべり。特にサックスのオプリカがご執心で、他のメンバーがサインをしている間ずっと女の子に話しかけていた。
今回、ラッキーだったのはゲストにインドからクィーン・ハリシュが参加したことだ。
うっかり今回来日するとは知らなかったのだが、彼女(?)は映画『ジプシー・キャラバン』に出ていて、妖艶なダンスで私を虜にしていたのだ。
アウレリアと共に、色気の無いオヤジバンドに艶やかな花をそえてくれた。
圧巻は後半の立ち上りに登場して、ソロで踊ったのだが、色っぽいを通り越して、男たちを悩殺する勢いだった。女の私も心を奪われるダンスだ。
駒のようにクルクル回る、高速スピンで踊りだしたところで、興奮は頂点に達し、会場から歓声が上がった。なんか嬉しくなった。
ジプシー音楽は、陽気なリズムと哀愁を帯びたメロディが特徴だが、ファンファーレの場合は陽気さが大半を占めている。超高速テンポで刻まれるタンギングが見事だ。華やかなトランペットやサックスが目立つが、チューバとホルンのリズム隊の土台がしっかりしているからこそだ。
アンコールで演奏した「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」には、笑ってしまった。原曲から程遠かったけど、一体なんて言ってたのかな?英語だったの?
今回のメンバー全員と他のジプシー・ミュージシャンが出演している映画『ジプシー・キャラバン』の感想はこちらをクリック→ニコラエじいさん、さようなら!
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