またたびCINEMA〜みたび〜

大好きな猫や映画の小ネタなんぞをとりとめもなくつづってゆきます

シロクマに謝りたい―『アース』

EARTH/2007/イギリス、ドイツ

コンセプトは「究極の映像で描く地球のポートレート」だそうだ。
その言葉どおり、極北の雪山で冬眠から目覚めるシロクマ、すなわちホッキョクグマの親子のほほえましい姿をとらえたカメラは、地球を縦に南下しながら、トナカイとオオカミ、アムールヒョウ、ゾウとライオン、踊るフウチョウなど各地の動物の営みを捉えてゆき、南極海沖で子育てするザトウクジラに至る。最後カメラはもう一度、北極海に戻ってくる。そこでは、アザラシ狩りにでたものの、薄い氷に足をとられるホッキョクグマの無様な姿がある。仕方なく海を泳ぎ出した彼は、セイウチの群れに出会う。普通なら獲物として襲わないが、もう飢えは限界にきている。子供を狙ったものの大人のキバにやられてしまう。手負いのシロクマは、丸くなってじっと死を待つしかない。心痛む映像だ。
北極熊は今や地球温暖化の犠牲者の象徴のようにいわれている。このまま温暖化が進めば、もう近い将来絶滅するそうだ。地球はこれら動物たちみんなのものなのに、人間のわがままでここまで地球をおかしくしてしまった。動物たちに「ゴメンナサイ」と心から謝りたい。
この映画の見どころは、主役の動物だけでなく、雄大な地球の自然も素晴らしい。5年の歳月を費やし、最前線の技術を駆使して撮った、各地の美しい映像にうっとりする。なかでも、ベネズエラのエンジェルフォールは世界一の高低差を誇る滝は見逃せない。映画館の大画面で見て欲しい。