またたびCINEMA〜みたび〜

大好きな猫や映画の小ネタなんぞをとりとめもなくつづってゆきます

世界中の映画好きに捧げる映画―『それぞれのシネマ』

To Each His Own Cinema/2007/フランス他

東京フィルメックスのオープニング作品『それぞれのシネマ』を観て来た。
この作品は、カンヌ映画祭が60回を記念して世界の映画作家にそれぞれ短編を委託し集められたオムニバス映画。映画館をテーマに、持ち時間はわずか3分間。世界各地からの35人の才能が約2時間の作品に集結した。
YOU TUBEの動画はその中のひとり、中国のチャン・イーモウ監督の野外映画の巻。元気な子供達と淡い恋心が3分の中に描かれてる。
他に北野武監督(映写技師でも出演)の田舎の映画館は、ピカいちのおかしさ。コーエン兄弟はご当地ネタで笑わせてくれ、クロード・ルルーシュは両親の話で泣かせてくれる。
監督名が終わりに出てくるので、誰の作品か推測するのも楽しい。みんな個性的な作家なので、馴染みの監督なら映像でわかってしまう。カウリスマキケン・ローチウォン・カーウァイもばればれだった。こんなところも映画好きの心をくすぐるのだ。
冒頭「フェデリコ・フェリーニに捧ぐ」の献辞とともに、ニーノ・ロータ風の音楽で始まり、最後「ルネ・クレールの思い出に」との言葉と彼の映画の断片で〆られた。まさに映画好きによる、映画好きに捧げられた映画だった。幸福な2時間に、目にうっすらと涙がにじんだ。