またたびCINEMA〜みたび〜

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「若冲と江戸絵画」展へ滑り込め!



伊藤若冲
今、上野で開催されている国立博物館でプライス・コレクション『若冲と江戸絵画』が今週末で終わります。東京近辺の人は、是非見に行ってみて下さい。斬新な日本画に目を見張ります。

伊藤若冲は、江戸時代に京都で活躍した画家ですが、極彩色の鶏の絵等、個性的な画風で今話題の絵師です。1970年代に再評価されるまで忘れられていた若冲の絵画を、アメリカ人のジョー・プライスという人が収集していました。若い頃にフランク・ロイド・ライトと親交のあったプライス氏は、日本に浅からぬ縁の建築家から多くの事を教わったそうです。
「君はGodのGは大文字で綴るかい。私はNatureのNも大文字で綴るんだ。」
名言だと思いませんか?ライトと森を散歩しながら、自然についてのレクチャーを受けていたんですね。

展覧会のハイライトは、六曲一双の「鳥獣花木図屏風」です。初めて見た人は驚く事でしょう。まるで銭湯のタイル絵です。実際、プライス氏はアメリカの自宅の風呂場にこの屏風絵をタイルで再現しています。その写真が下のブルータスに掲載されています。充実した特集ですので是非ご覧下さい。
白い象を中心とした多くの獣(麒麟、虎、猿、ロバまで)と、鳳凰を中心とした鳥達(鶏、鶴、オウム、孔雀他)が屏風の絵の中に大集合しています。実在と想像の動物達は、写実というよりグラフィックでモダンに描かれています。とても江戸時代とは思えません。私は本物を見る前に、六本木ヒルズのエスカレーターの所でレプリカを見てしまいました。衝撃的でした。これは一種の仏画である、という解説を読みました。仏陀の臨終に集まった動物達なのだそうです。なるほどね。

BRUTUS (ブルータス) 2006年 8/15号 [雑誌]
目をみはる伊藤若冲の『動植綵絵』
この「目をみはる」ほど、活き活きした雄鶏は、写実を超えたものを感じさせます。晩年は、抽象的な、よりグラフィックな作風へ変わっていきます。同じ人が描いたとは思えない、洒脱な鶴の絵も見て下さい。

若冲だけでなく、他の同時代の画家の絵も素晴らしいです。動物画が多いので、私の様な動物好きは満足する事でしょう。
29日まで上野で、それから京都、九州、名古屋と巡回します。