またたびCINEMA〜みたび〜

大好きな猫や映画の小ネタなんぞをとりとめもなくつづってゆきます

クリント・イーストウッドは面白い人


今、深夜映画で『マッシュ』をやっています。アルトマンが昔撮ったコメディの傑作ですが、今話題の『24』のジャック・バウワーことキーファー・サザーランドの父、ドナルド・サザーランドが出ています。ずっと思っていたのですが、息子より父親の方が、俳優としても男としても格が上のような気がするのは私だけ?(だいたひかるふうに)

今回は彼等ではなく、クリント・イーストウッドをとりあげます。
クリント・イーストウッド

ジェームス・リプトンというおじさんが、俳優達にインタヴュ−する「アクターズスタジオ・インタヴュー」という番組があります。(BSでやっているらしいが私は衛星が見られない)一昨日はクリント・イーストウッドが二回続きで登場しました。寡黙なイメージがある彼ですが、思いのほか饒舌で、ユーモアを交えながらの話にすっかり魅了されてしまいました。
時期は話から察すると『ミスティック・リバー』(傑作!)を監督した直後らしいので、2、3年前でしょうか。会場には前のパートナーのフランシス・フィッシャーと現在の若い奥さんが来ていました。
(彼の華麗な女性遍歴はここでは触れません。)
彼の俳優としての魅力も然ることながら、私は彼の監督としての力量を高く評価して来ましたが、この番組を見て彼の人間的側面を知ることが出来ました。
俳優はそのキャラクターを売り物にしているのだから、本人そのものが魅力的なのは当然でしょうが、このホストのおじさんがうまいのかこの番組は退屈したことがありません。私がこれまで一番面白かったのはトミー・リー・ジョーンズでしたが、今回は彼を上回ったかも知れません。

ここで面白かったエピソードをいくつか思い出しながらあげてみます。

イーストウッドはいくつかの西部劇の常識をくつがえした。ジョン・ウェインは敵の背後から銃を
 撃てと指示された時、ヒーローがそんな卑怯なことは出来ないと拒否した。その時監督のドン・      
 シーゲルはイーストウッドならやるぞと応えた。
 イーストウッドは「相手が銃を抜くのを待つなんてナンセンスだ」と一笑に付した。

*『荒野の用心棒』は「ローハイド」のオフの間の三ヶ月で撮った。監督のセルジオ・レオーネ
 英語が分からず、イーストウッドはイタリア語が分からないので演技は勝手にやった。
 レオーネはこの映画のことを、日本にはなんにも言わなかった。

 *彼の音楽通は有名だが、ピアノを始めたのは9才頃で彼がピアノを弾いていると女の子達が集
 まって来た。これに味を占めて練習に精を出した。
 
 *『許されざるもの』のライティングは、『第三の男』を参考にした。ハリー初登場の場面で彼
 の顔が暗闇に窓の灯りで浮び上がるシーンだ。

特に印象深かったのは、演技のこつは相手のせりふをよく聞く事だといっていた事。実生活でも、人は相手の話を聞いてるようで実は聞いてない事があり、自分の話ばかりしている事がよくあるそうです。
何も間をおいてゆっくり話せといっている訳ではなく、ハワード・ホークスの『ヒズガールフライディ』は機関銃のように矢継ぎ早に発せられる会話が有名ですが、相手の言葉をちゃんと受けて応えているそうです。この映画は勉強になるので(演技の勉強をしている聴衆の人達に)ぜひ見て欲しいと言っていました。
もっとたくさん面白い話があったのですが、録画しなかったのが残念。
まあ、彼の映画は未見も含めてたくさんあるのでまた見直す事にしましょう。