ロアルド・ダールという人
昨日の夜眠れぬままにサッカーを見ていたら、中田がプレミアリーグ初ゴールをあげてくれました。イタリアで実力を発揮できずにいた中田を歯がゆく思っていたので、胸がすっとしました。
でも中田はどこで英語を修得したんでしょうか?
Boy: Tales of Childhood
ということで、上の本は『チャーリーとチョコレート工場』の作者ロアルド・ダールの自伝で、翻訳が『少年』というタイトルでハヤカワ文庫からでています。
実はこのペイパーバックは、まだ翻訳が出る前になんとなく面白そうだったので購入したものの、
まだ英語がおぼつかなく、辞書と首っ引きで読了した思い出深い本です。もう黄色く変色しています。あまりにゆっくり、中断したりしながら読んでいたために、途中で翻訳が出てしまいました。翻訳本に切り替えようかともおもいましたが、なんとか読み切りました。
ロアルド・ダ−ル(1916-1990)はウェールズ生まれのイギリス人ですが、両親はノルウェー人です。この自伝では、パパ、ママの話から始まって、いたずら小僧時代のエピソード、毎年夏の大家族そろってノルウェーの小島への大移動、パブリックスクールでの理不尽な寮生活をおさらばするまでの子供時代の忘れがたい思い出が綴られています。
彼はその後、シェル石油に就職しアフリカ赴任でスワヒリ語を修得、英国空軍のパイロットになり、それからアメリカに渡り作家になりました。子供の本が有名ですが、短編小説の名手で私は早川文庫から出ている賭けをテーマにした短編集「あなたに似た人」が最初でした。
- 作者: ロアルドダール,田村隆一
- 出版社/メーカー: 早川書房
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ちなみに、ダ−ルの最初の妻は女優のパトリシア・ニール(『ティファニーで朝食を』のウィリアム・ホールデンのパトロン役)です。ゲイリー・クーパーとの不倫に悩んでいた彼女に作家のリリアン・ヘルマンがダールを紹介しました。一方ヘルマンの夫同然だったハメットはその頃パトリシアにぞっこんだったそうです。(ヘルマン&ハメットは映画『ジュリア』に出て来ます。)
この自伝は、読みながら思わず吹き出してしまう程面白いエピソードだらけですが、なんといっても特筆すべきは「ねずみ陰謀事件(The Great Mouse Plot)」でしょう。
7歳のダールは他の4人の男の子達と学校の行帰りにある菓子屋(Sweet Shop)にたむろするのが日課でした。お店には子供達の目を釘付けにする、色とりどりのキャンディやチョコレートが一杯です。友だちのひとりは、Liquorice Bootlaces(甘草入り靴ひもキャンディ?)はねずみの血で出来ているから食べてはいけないと言います。彼の医者の父が言うには、工場は国中からねずみを買って集め、煮て、ローラーでぺしゃんこにするのだと。口にするとねずみ病に罹って、歯が尖り、おしりから短いしっぽが生えてくるんだと。
それでもみんなは小銭を握りしめて店に通います。お店の女主人ミセス・プラッチェットはそんな子供達をもてなすどころか邪見に扱います。一番ダール達がいやだったのは彼女の不潔さでした。
汚いエプロンをして、汚れた手でお菓子壷の中のキャンディを取り出すのです。
ある日死んだねずみを見つけたちびっこギャングは、ミセス・プラッチェットをぎゃふんと言わせるいたずらを思い付きます。ねずみをゴブストッパー(Gobstoppers 舐めると色の変わる飴)のガラス瓶の中にしのばせる、という策略です。どうなったかは「ミセス・プラッチェトの仕返し(Mrs Pratchett's revenge)の章にでています。
この子供時代の思い出を集めた本からは、その後のダ−ルの作品の原点が見え隠れします。もし彼に興味を持ったなら読んでみて下さい。楽しい本です。
それから、彼の“James and the Gaiant Peach"の映画『ジャイアント ピ−チ』もお勧めです。
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ロアルド・ダールのホームページは楽しいです。是非訪れて見て下さい。
Roald Dahl-The Official Web Site