またたびCINEMA〜みたび〜

大好きな猫や映画の小ネタなんぞをとりとめもなくつづってゆきます

毒入りチョコレートの秘密 『チャーリーとチョコレート工場』より

チャーリーとチョコレート工場 [DVD]

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 ようやく観てきました、ティム・バートン版『チャーリーとチョコレート工場』。謎の工場長ウィリー・ウォンカを演じるのはジョニー・デップ。変な白塗りおかっぱ頭で楽しそうに演じています。
 子供向けとはいいながら、この奇妙奇天烈、ウィアードで毒入りの物語を映画化するにはティム・バートンが最適かも?彼は原作者のロアルド・ダールが好きと見えて、彼の『ジャイアント・ピーチ』もアニメ化しています。

 子供の頃にはヘンゼルとグレーテルの「お菓子の家」に憧れたもんですが、チョコレートの川で溺れたいとは思いませんでした。あま〜い、とろけるようなお菓子に囲まれながら、内容は実にダークでブラック。甘やかされた子供達を懲らしめる教訓話かと思いきや、かれらは酷い目に遇わされただけで何のフォローもされません。笑っておしまいってことでしょう。素直で親孝行のチャーリーだけがいい思いをするのです。
    

 バートン監督のセットデザインにはいつも惚れ惚れしてしまいます。『シザーハンズ』の丘の上の古城とパステル調の町並み。『バットマン・リターンズ』のゴッサムシティ。『スリーピーホロウ』のおどろおどろしい中世の村。などなど...。
 今回も町の中心の高台に聖堂のようにそびえ立つウォンカ氏の工場と、その裾野に門前町の様に整然と並ぶ家々。町には白い雪が降り積もっています。そんな中に一軒、今にもつぶれそうな小屋が見えます。貧しいチャーリーの家です。笑ってしまうくらいのぼろ屋です。

 この映像に添えられるダニー・エルフマンの音楽がまた素晴らしい。バートン監督11作品の音楽を担当し彼の映画には無くてはならない存在と言えます。ちなみに私のお気に入りは『シザーハンズ』かな?彼はまた今回、工場の従業員ウンパ・ルンパ達のダンスに様々な曲を提供しています。これも人を小馬鹿にしたような歌と踊りで笑わせてくれます。
  
 原作にはないのですが、『スリーピー〜』に引き続きウォンカ氏の父親役で“ドラキュラ伯爵”クリストファー・リーが出演しています。息子にグロテスクな歯の矯正具を強制し、虫歯の素のお菓子を断固拒否する歯科医の父親役を怪演しています。『シザーハンズ』のヴィンセント・プライス、『エド・ウッド』のマーチン・ランドーと監督はホラー映画のスターが大好きなんですね。

 後、忘れてはいけないのがリス達です。ウンパ・ルンパ達も傑作ですが、まあるい部屋で輪になってクルミを次々と選別し殻を齧っていくりすのかわいいいこと!最後に泣きわめく女の子の頭を叩き出した時にゃあ、大笑いです。(中身があるかないかを確かめているのです。なければゴミ捨て場に直行です。)

 このへんてこりんな物語を書いたロアルド・ダールも変な人です。少年時代の思い出を綴った『少年』(“boy")はすご〜く面白いのでちょーおすすめです。

次回はそのロアルド・ダールについてお話ししたいと思います。