またたびCINEMA〜みたび〜

大好きな猫や映画の小ネタなんぞをとりとめもなくつづってゆきます

フランケンシュタインの孫って? 

 今回の映画はホラー作品なので、写真は猫ではなくからすにしました。ちょっと前に行った旧古河邸の庭でポーズをとってくれました。黒猫でも良かったかな?関係ないけど、もし将来黒猫を飼うことがあったら、赤い首輪をさせたいな。
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ヤング・フランケンシュタイン〈特別編〉

 “Yaung Frankenstein"(75年/米FOX) 監督は前に紹介したミュージカル「プロデューサーズ」の作者メル・ブルックス。主演もしているジーン・ワイルダーが監督に映画化を持ちかけ、共同で脚本も書いてます。
 ところで、タイトルの「ヤング・フランケンシュタイン」のフランケンシュタインは、誤解している人が多いのですが、あの継ぎ接ぎだらけの怪物の名前ではなく、怪物を生み出した博士の名前です。えっ?知ってたって!
 この映画は、あの死体をよみがえらせたフランケンシュタイン博士の孫が、奇しくも祖父の偉業?をまさに再びよみがえらせるという抱腹絶倒のパロディです。

パロディなので本家本元を知っといた方が面白いのですが、知らなくてもそこそこ楽しめるでしょう。メアリー・シェリー原作の「フランケンシュタイン」を初めて映画化したのは1931年で、ボリス・カーロフが怪物役でした。これ以降、フランケンシュタインのイメージは彼に負うところが大きいといえます。この時のメーキャップ、でこっぱち頭に、やぶにらみ、継ぎ接ぎだらけに、首に杭という怪物像が後世に引き継がれました。

 映画はわざわざモノクロを選択し、タイトルバッグも昔のゴシックホラーを意識したつくりで、気味の悪い古城に重々しい音楽を添えています。
 画面は変わってファーストシーン。立派な棺にフランケンシュタイン男爵と刻印。ふたが開くと立派な服を着た白髪の骸骨が。現代のフランケンシュタイン博士のひいじいさんです。そこに誰かの手が伸びてきて、胸に大事そうに抱えた小箱を無理矢理引きはがすと片腕がもげてしまう。ここで初笑いです。実はこの箱には遺言が入っていて、アメリカにいるひ孫がトランシルバニアの古城の相続人になったと云う訳です。それからいろいろあって、この古城で博士は嫌ってたはずの禁断の人造人間創造に手を染めるのです。

 監督は昔の映画をよく研究していて、まぎれもないコメディと昔のゴシックホラーの雰囲気をうまく融合させています。ムルナウフリッツ・ラング監督作品やカリガリ博士等のドイツ表現主義も参考にしたとは、監督の弁。巨大で怪しげな実験室や、怪物に命を吹き込む場面はオリジナルにそっくり。脱走した怪物が立寄る盲目の老人の家でのエピソードや、少女と池のほとりで花を摘む場面も出てきます。
 この純真無垢な少女と実は心のきれいな怪物との交流は、ヴィクトル・エリセ監督の「みつばちのささやき」に形をかえて引き継がれます。
 
 ここで前回に引き続き英語のお勉強。数あるギャグの中で秀逸なひとつです。場面は墓地。縛り首になった囚人の死体を掘り起こしながらの博士と助手アイゴール(このドングリまなこの役者が素晴らしい!)の会話。
 ドクター:What a filthy job!      (なんて不快な仕事なんだ)
 アイゴール:Could be worse.       (まだまし)  
 ドクター:How?             (なんで?)
 アイゴール:Could be raining.      (雨が降っていない)
そう云った途端に雷鳴轟き、ざあっと雨が二人に襲いかかる。言葉で説明しても面白くないかな?
 後、博士のフィアンセ、エリザベスと怪物がことを致した後の、エリザベスのセリフがすごくおかしいのだが、シモネタなので割愛します。 
 
 ふと疑問に思ったのですが、文学や映画などに繰り返し出てくる、マッド・サイエンティストつまりいけない事をしちゃう気の振れた科学者は誰が初めてなのでしょうか?もしかしたら、このメアリー・シェリーが発明したのかも?誰か詳しい人教えて下さい。
 メアリーはあの詩人シェリーの夫人で、「フランケンシュタイン」が作られた背景なんかは、映画「ゴシック」や「幻の城」(こちらは未見)に詳しく、同じく詩人のバイロン卿やドラキュラの物語を書いたDr,ポリドリも登場します。どちらも入手困難ですが、興味のある人は探してみては?