またたびCINEMA〜みたび〜

大好きな猫や映画の小ネタなんぞをとりとめもなくつづってゆきます

映画-タ行

幼い嘘、償えない罪―『つぐない』

Atonement/2007/イギリス エンドロールが流れ出した時、分厚い小説を夢中で、一気に読み通したような、そんな気がした。 いい小説を読んだ後のように、この作品は観客の心にずしりと重いものを残していく。 青い目が印象的なブライオニー(3人の女優がそれ…

ユニークなドキュメンタリー作家ニコラ・フィリベール―『動物、動物たち』『行け!ラペビー!』

ニコラ・フィリペールというフランス人が撮ったドキュメンタリー作品をふたつ観た。同時上映で、かつてのツール・ド・フランスの優勝者ロジェ・ラベピーの『行け!ラベピー』と、「フランス国立自然史博物館」の改修で蘇る剥製の動物たちを撮った『動物、動…

かる〜く出来ちゃいました―『タロットカード殺人事件』

Scoop/2006/イギリス・アメリカ ウディ・アレンは、創作意欲を湧きたててくれるミューズと街に出会い、前作『マッチポイント』を久々の傑作に作り上げた。ロンドンとスカーレット・ヨハンソンである。 『マッチポイント』では、ウディ・アレンの代名詞ともい…

悠久の大河、そして人生はつづく―『長江哀歌』

三峡好人/STILL LIFE/ジャ・ジャンクー監督/2006/中国とにかく雄大な長江(揚子江)の存在感に圧倒された。この映画の主役と言ってもいい。長江流域の泰然とした自然に比べ、人間の営みのなんとちっぽけなことか。明日をも知れない命だが、それでも精一杯…

使い捨てにされる兵士たち 『父親たちの星条旗』

(FLAGS OF OUR FATHERS/2006/米) クリント・イーストウッドという人は、アンチ・ヒーローを演じ、いつも一筋縄ではいかない屈折した人物を主人公に映画を創って来た。『許されざる者』では、割切る事のできない「善と悪」をテーマに西部劇の傑作を生み出し…